この1枚の壁が憎かった。
この壁を取り払えてたら、もっともっと花音のことを理解出来てたのかな…



もっと花音の近くに居れた…?



俺は立ち上がり机の上にある写真立てを取った。



笑ってる俺、花音、時雨。
輝くこの写真は俺の宝物。



もう動いてはくれないけど…、それでも花音に会えるから…―。



笑顔の花音を見れるから…。




カーテンを開け窓を開く。
強い日差しが俺の部屋に差した。



ねぇ、花音。
今何してる…?



いっつも壁を見つめながら想ってたんだよ。
部屋に行こうか迷ったこともある。




結局恥ずかしくて行けなかったけどね…



だから、ずっと扉を見て想ってた。
花音が入ってこないかなーって。




うっとうしそうなフリしてたけど、本当はいっつも待ってた。
嬉しかったんだよ。



嫌な日なんて1度もなかった…
この部屋は、3人しか入れない秘密の場所なんだから―……