キミ色

外に出て、まずは深呼吸をする。
そして、空を見上げるんだ。


そしたら、また見えるだろう?…お前が。


今日も快晴だよ?花音。
きっと今日も笑ってるよね?


空に向けて言葉を放ち、俺はマンションを後にした。





学校に着いた時はもう既に11時。
完全なる遅刻だ。


まぁ、空羽が来る前の事を考えるとそこまで珍しい事ではないんだけど…。


いつものように靴箱に行き、汚くなったローファを置く。


静かな廊下に1人うるさく上靴の音を鳴らし、2階にいく為の階段を上ると後はひたすら真っ直ぐ歩くだけ。



でも、教室には入らない。


あんな静かな教室に今入っていくのは、さすがに空気が読めてなさすぎだろ?
俺はそこまで目立ちたい訳でもないし…先生の対応もめんどくさい。



だから教室を通り過ぎ、いつもの場所に向かうんだ。
あそこなら誰にも何にも言われずに、落ち着ける。



それに、あそこは一番空に近づける場所だから…。



そこは、今目の前に見える階段を上っていけば、辿り着ける場所だ。
次第に赤い扉が目の前に見えてきた。



俺は、手首を捻りゆっくりとその扉を開けていく。