キミ色

明日から東京を離れるために朝から荷造りや掃除をしてるのに、まだ半分程度しか進んでない。



その原因は絶対こいつだ。



いつもなら時雨と昼からやっても間に合うのに、今回は片づけても散らかしていく奴が1人…



俺は手に持っている本を眺めてため息をこぼした。



「活け花の基本…か。」



テーブルの机にぽんと置いて、また衣服を鞄の中に詰めていく。



「ねぇ、櫂…」



その空羽の声に振り返ると、ばつが悪そうにこっちを見ている。



なんか…、嫌な予感がする…



「…何?」



「これ…どうしよう。」



苦笑いしながら指をさしたものは、大量の鉢だった。
勿論、色とりどりの花が咲き誇っている。



…予感的中。
1週間以上家をあけたら、きっと一瞬で枯れてしまう…



こんなもん、どーすんだよ…



言葉も出ない俺は、ただただその鉢を眺めていた。