キミ色

「空羽、お前用意しろよ。」



あの屋上の日以来、前にも増して空羽と喋る回数が増えた。
1番の理由はきっと、気楽だから。



想ってることを全部言葉に出来る。
変に深入りしたりしない自分でいれるのが、何より楽だった。



「やってるよー。」



暢気な声で返事をする空羽。



嘘だ。
絶対やってない。



さっきから微動だに動いていない空羽を見てそう確信し、ゆっくりと近づき見ていた本をとりあげる。



「あ!櫂、さっきの凄く綺麗に活けてたのに…」



凄く残念そうに顔をしかめる空羽。
それよりもってすることがあるだろ…?



「おい、嘘はつかないって約束だろ?」



冗談半分で空羽に脅しをかける。
笑いながら、仕方なく手を動かしだす空羽。



「はぁー、ちょっとは真面目にやれよ。」



「やってるよー」



「どこがだよ、さっきから休憩してばっかだろ?」