キミ色

「嬉しいけど…、でもそれは違う。」



「え…?」



「花音ちゃんは空羽の憧れなの。今もずっとずっと空羽の憧れ。」



憧れ……




「“太陽になりたい”って花音ちゃんが言ってたの知ってる?」



「……あぁ。」



「あの言葉…、空羽のせいなんだ。」



「え…?」



…嘘だ?
だって、花音はみんなが喜ぶからって…




「空羽、月が好きだったの。」



「…月?」



「空羽ね、小さい頃病気がちで外で遊んだりあんまり出来なくて…、だから太陽なんて嫌いだった。」




「遊べないから…?」




「違うよ。お日様が出たら皆が外で遊んでるのがベッドから見えちゃうから…。
空羽だって遊びたいのにって哀しくなっちゃって…。」




そう言って空羽は月を見上げた。