キミ色

花音じゃないのに…
俺……



目の前にいるのは、空羽なのに…



「ねぇ…櫂?」



「うん…?」



「少し、話さない…?」



空羽はそう言うと、俺をマンションの屋上まで連れて行った。



一段と空に近づける屋上。
ここに来るのは、久々だった。



「…あたしね、櫂のこともっと知りたいの。」



ゆっくりとした声で空羽はそう言った。
屋上に柔らかな風が漂う…



「もっともっと知りたいんだ…」



こんな風に言われたのは、初めてだった…
俺のことを知りたいなんて…



そんな奴、今まで1人も居なかった。
みんな、避けるようにその話題はしなかった。



どうして、空羽はこんなにも俺をかき乱すの…?




まるで、花音みたいに―……