キミ色

また、置き去りにして行ってしまうの…?



あの日みたいに…、
突然、急に…



キミは俺の前に姿を見せなくなった―…



何も言わずに行ってしまうなんて、卑怯だよ。



寂しかった…
とてつもなく…



だから…、戻ってきてよ…
俺はあの日のままだから…



花音がいつでも戻ってこれるように、俺の時間は止めてるから―…



針を動かしに来てよ…
俺の時間を進めて―…?



きっと、リズムよく刻み始めるから…




「………櫂―…」



一気に溢れ出してしまった感情が次から次へと言葉になって表れ出す…



そんな俺を現実に引き戻したのは、小さな空羽の声だった―…




あ…
俺…、何して……



急に我に帰った俺は、慌てて空羽を腕から引き放した。



「ごめん…」



俺、何で……