キミ色

《ドサッ…》



突然鳴ったその音にさっと泪を拭い、音の方に振り向くとそこには空羽がいた。



一瞬で固まる空気、見つめ合う空羽と俺。
風だけが俺達の間を通り抜ける。



もしかして…、見られた…?



一気に恥ずかしさと気まずさがこみ上げてくる。
まさか…空羽に見られたの…?



唖然としているのも束の間、次の瞬間には空羽は全速力で階段を駆け下り始めていた。




空羽の階段を下りていく足音だけが耳に響く。
考える前に、俺の足は勝手に動いていた。



下りて行く空羽を必死で追いかける。




待って。
ねぇ、待ってよ空羽…




スピードを上げて階段を只管駆け下りる。
でも、空羽は決して後ろを振り返らない。



「空羽!」



気づいてるくせに空羽は絶対に振り向かなかった。
その様子に急いでまた空羽を追いかける。



「空羽!!」



空羽のいる1段上の段までついた俺は、そう叫び腕を掴んで無理矢理空羽を振り返らせた。