キミ色

ぱっと光を照らすと、そこは洗濯物の山だった。
洗面所の入り口が洗濯物で溢れている…



……っ



一目見ただけで洗濯物籠の中から全ての洗濯物が床に転げ落ちてしまっているのが解った。
その証拠に籠が洗濯物の上に乗っている。



今日朝起きた時は確実に綺麗だったのに…



…もしかして、空羽っ…



「空羽…空羽…?」



もはや声を出していないと落ち着かなくて、無駄だと解っていても空羽の名を呼んでいた。



…まさか、こんなとこにいる訳…
でも…、怪しすぎる。



半信半疑のままに入り口を塞いでいるタオルやTシャツ、ジーンズを掻き分けていく。
少し洗濯物をどけると、聞き慣れた音が鳴り響いた。



《ガタンッ…》



…何?
でも、この音はさっきも聞いた気がする…



咄嗟に音の方に光を当てると、そこには水色の可愛い携帯が落ちていた。



…この携帯っ!
咄嗟に拾い上げボタンを押すと、画面には《着信 櫂 8件》という文字が浮かんでいた。



それは、紛れもなく空羽のいつも使っている携帯だった。
その証拠に不在の着信で画面が埋められている…