全く状況を掴めない俺は、何度も空羽の名前を呼んでいた。
でも、何度呼んでも空羽からの返事がこない。



どうしたの…?
何で、何も言わないの?



空羽の身に何かあったのか…?
何が…何が、起こってる?



混乱する頭は正常になんて動いてはくれなくて、俺の心を余計に不安へと陥れる。
浮かぶことは悪いことばかり…



空羽…空羽…空羽……──



ただ、その言葉だけが頭の中をぐるぐると回り続ける。



どうしたらいい…?
俺は…、どうすれば……



そう考えるより先に、俺の足はもう玄関の方に向かっていた。
考えるより先に身体が勝手に動いていた。



行かなきゃ…
どこでもいいから、空羽が居そうな場所に…



早く、空羽の近くに行かなきゃ…



そう想った俺の頭には、あの時の光景がフラッシュバックしていた。
最期の花音の姿が──…



嫌だ…
もう…、あんな姿は散々だ…



空羽はきっと違う…。
絶対に違うよね……