キミ色

懐中電灯の灯りを頼りにリビングに戻ると、そこには信じられない光景があった…



嘘……



何で…?
何してるの…蓮……─



頭が混乱して、言葉を発することなんて出来なくて…
とにかく、その光景を懐中電灯で照らすことしか出来なかった…



《ガタンッ…》



虚しい音が鳴り響くリビング。
俺の携帯は、紛れもなく今蓮の手から落ちた…



俺の…携帯……。
蓮のではない…、俺の紛れもなく俺の携帯…




蓮が俺の携帯を勝手に開けるなんてことは絶対になかった。
今までも…そして、これからもあり得ないと思ってた。




嘘だ…嘘だ…
でも、照らした時にしっかりと見てしまった…



蓮の携帯は…、2つ折りじゃないんだ──…




そして今床に無造作に開いた状態で置かれてある携帯電話。
聡君は携帯を持ってない…



嘘…何で?
…蓮、どうして?



聴きたいことは解っているのに、俺はその言葉を声として紡ぐことが出来なかった…




そして…、床の上でゆっくりと俺の携帯が振動した…。
この1本の電話が全てを俺に教えてくれたんだ──…