キミ色

「ねぇ、櫂!」


…その時だった。
蓮が俺に声をかけたその瞬間。


一瞬稲妻が走り、次に凄い音が俺達の空間を埋めた。
そして、ブレーカーが落ちたのか視界が一瞬で真っ暗になってしまった。



「…な、に……?」


力が抜けたように蓮は言葉を発すると、その場にペタンと座り込んでしまった。
隣では、聡君が大声をあげて泣き出した。



「お姉ちゃん!!怖いよぉ…!」



そう叫ぶ聡君の声で、呆然と立ち尽くしていた俺はとりあえず光を遮るために見ていた窓の雨戸を閉めて声をかけた。



「…蓮、大丈夫?!聡君も!!」



「かぁいー!!怖いよぉーー!!!」



泣き続ける聡君。
隣で聡君の手を握り続ける蓮。



「蓮、聡君の傍にいて。ブレーカー探してくる」



暗さを凌げれば、きっと聡君も泣き止む。
早く電気をつけてあげないと…



途中にある窓の雨戸を閉めながら、とりあえず洗面所の方に進んで行く。



まだ鳴り止むことのない雷。
落雷する度に、聡君の泣き声が大きくなって聞こえてくる。



焦りと不安が一気に全身を巡る。
早く、何とかしないと…