キミ色

いつもは輝いている星も月も今日はお休みだった。
どんよりとした黒い雲に覆われて、1つも見えない。



それに加えて、雨は気持ちがいいほど大降りになってきた。



家に着いてから、夜ご飯を作り始めた蓮と聡君とは離れ窓からずっとこの景色を眺めていた。



俺の心のよう…
まるでこの黒いモヤモヤした気持ちを表してくれているかのようだった…



想い出は数え切れないほどあって、いつも蓮は俺に力をくれた。



苦しんでる時も悩んでる時も…、何も言わない俺を責めないでずっと傍にいてくれた。
ずっと俺に笑顔をくれた……─



花火の時も、海の時も、屋上も…
全部、蓮の色で染まってる…



楽しそうに笑う蓮も、切なく俯く蓮も、淋しそうに泣く蓮も、可愛く怒る蓮も…
全部全部、大切で…宝物だった。




…だけど、
気持ちは残酷で心は最高に卑怯で…



たった1人のかけがえのない少女が、俺の心を惑わせた…



俺の心をひょいっと奪ったんだ…
いとも簡単に……─


俺の心には確かに2人の女性がいた…
どっちもとっても大切で、大事で…



選ぶことなんて、出来ないのに…



ねぇ、どうして神様は俺の心を玩ぶの…?



神様は俺に試練を与えたんだ…