キミ色

地面に向かって真っ直ぐに降り続ける雨。
木の葉を散らし続ける風。



全く止むことを知らない雨風は、むしろ強さを増して行く。



そんな中、俺達は映画館を出て聡くんを迎えにきていた。
いつものバス停まで歩き慣れた道を蓮の話を聴きながら歩いていく。


毎日同じ道を通り続けた。
聡君と蓮と…



雨の日も晴れの日も毎日3人で通い続けたバス停。



ここに来るのが当たり前だった。
来ない方が違和感を感じるように…



でも…
俺はもうきっとここには…来ない。



……きっと…



聡君の傘をぎゅっと強く握ると、丁度バスが俺達の前に停まった。



…──プシュー……



その音と共に扉が開き中から出てくる聡君と先生。



「聡、お帰り!!」



笑顔で迎える蓮の横で俺は聡君の頭上に傘を翳した。



「ただいま!!お姉ちゃん、櫂!!」



いつもの笑顔で俺を見る聡君。
俺は一応笑顔を作った。



でも、もしかすると…
いつもと違うのに、聡君は気づいていたのかもしれない──…