キミ色

重なる俺の手と蓮の手。
小さな蓮の手は、しっかりと俺の手を掴んでいた。



「……蓮…」



「ねぇ、櫂!映画館行こう?!あたし見たい映画あるんだ!!」



俺の声を無視して蓮はそう言うと、俺の手を引っ張って歩き出した。
蓮によって進んで行く俺の体。



俺は蓮に流されるがままに映画館に向かっていた。




…まさかキミが、この光景を見て泣き崩れていたなんて知る由もなく──……




真っ暗な中大きいスクリーンだけが光る。
ポップコーンを片手に俺と蓮は隣同士に座っていた。



蓮が観たがっていた映画は、純愛のラブストーリー。



1人の女の子が一目惚れをした彼女のいる男の子のことを諦めず愛し続け、最終的に想いが通じ合いハッピーエンドで終わるというもの。



よくある恋愛物語。



その2人だけの話ならば、そう思って終わっていたかもしれない。
でも…、この映画はそれだけではなかったんだ。



主人公の友達…。
その友達の恋模様も描いていたんだ……



だから、敢えてこの映画を選んだの…?
思わずそう思えてしまう程、その恋は俺達の関係にそっくりだった。



でも…
ただ、1つだけ──……



その2人は最後には結婚して、とても幸せな生活を送ったんだ……───