キミ色

「…………」


でも、なかなか蓮は声を発さない。
思わず時計を見ると、また時は2分未来へと進んでいる。



それでなくても、今日は遅れてるのに…
さすがに、痺れを切らした俺は蓮に向かって声をかけた。



「今日は急ぐから、明日にして。」



そう言い残すと、俺は蓮の答えも聞かず急いで階段を降りていった。
教室から走り続ける俺の足は止まらない。



流石に1限から7限まで寝てただけあって、体力は少し回復していた。
そして、駅までは順調に行けたのだが、そこで俺の足は止まってしまった。



間に合う最終の電車が出てしまっていたのだ。
42分発の普通…、俺が着いた時には、もう時計は44分を差していた。



はぁ…はぁ…
駅には息の切れる俺だけがとり残されてしまった。



くそっ…



そう思いながらもどうすることも出来ない俺は、仕方なく壁にもたれかかった。
教室からずっと走ってきていた俺の足は、結構限界に近づいている。



「はぁ…」



荒れた息ではなく、ただの虚しいタメ息が零れ落ちる。
そして、駅には次の47分発の電車が止まった。



仕方なくこの電車に乗り込み、俺はドアにもたれかかった。



はぁ…
美波さんに怒られる…。



そんなことを考える俺を電車はゆっくりと目的地まで連れて行った。