キミ色

………嘘?


ぽかんと頭に浮かぶ文字。
瞬きをし目を擦ったが、やはり時計は変わる事無く俺に真実を伝え続ける。


5時には「MiLky」に着いてなきゃいけないのに、今時計は紛れもなく4時30分…


普通に考えてやばすぎる…
昨日は、4時25分には学校終わってたのに…。


学校から駅まで15分、電車で10分、駅から「MiLky」まで10分。


もう既に時間が足りてない。
ここから「MiLky」まで少なくとも35分はかかるのに…



俺は担任が喋っていることなど上の空で、鞄の中にプリントやらレモンティーやらを直した。
でも、なぜか今日に限って長い終礼がなかなか終わらない。



まじで、美波さんに怒られるって…
早く…



逸る気持ちを無理矢理抑えながら終礼を待っていると、ようやく学級代表が号令をかけた。
誰よりも先に起立する俺。



そして、礼と聞こえたその瞬間に一気に走り出した。
…が、俺の足は廊下で止められてしまった。



「…櫂!!」



呼ばれてしまった声のせいで俺は仕方なく立ち止まる。
急いでるのに…もう誰だよ?!


そう思い振り返った俺の目が捉えたのは……、




蓮だった─……。




「─…蓮…」