キミ色

「櫂…、大丈夫?」



次の日、俺が重い体を背負いながら蓮と学校に向かっていると蓮が急に俺の顔を覗き込んだ。


心配そうな表情をして見つめる蓮。


そんな表情されたら…、大丈夫としか言えないよ─…。




正直言って、本当は大丈夫じゃない…
昨日、久しぶりのバイトの上に結構長時間の労働で、俺の体はなかなかのだるさを感じていた。



あの後ずっと、接客、片付け、接客、片付けの繰り返しをしていたせいか、若干足にも負担がかかっていた。



もうちょっと、楽だった気がしたんだけど…、その予感は見事に裏切られてしまった。



そんなことを思いながらも、俺はまた蓮の横で笑っていた。
あの屋上の日以来、俺はよく蓮の横で笑うようになった。



素直に言ってしまえば…、



正直どうしていいか、解んないから―…



何かを言ったら、俺はまた蓮を傷つけてしまいそうで…



そう思ったら、もう何も言葉が出なくなる…。
そして、とてつもない恐怖感に襲われるんだ―…



だったら、いっそのこと笑ってたらいい。
俺が何も言わなければ、俺たちは全部何もかも上手くいくのだから―…。



何もかも―……。