キミ色

桐生さんと一緒に淡々と野菜を切っていると、急に扉が開いた。
中に入って来たのは、マスターと美波さんだ。



「お客さん多くなってきたから、野菜切るの変わる!1人接客まわって?!」


そう言う美波さんに従い、俺は接客に行くため包丁をまな板の上に置いた
そして代わりに入って来た美波さんが、包丁を手に持ち野菜を切り始めた。



その手捌きは言うまでもない。
何年も切り続けている美波さんの腕は、全くと言っていいほどおちていない。



俺はその素早い音を聞きながら、キッチンを後にした。



小さなお店なのにいつも多くのお客さんが入っているMiLky。
こういうのを見ると、やっぱりマスターは凄いんだと改めて感じる。



動きまわっている泉さん。
そして店内には、マスターの料理の匂いが漂ってきた。



料理を持ってきた美波さんから受け取り、俺はお客さんのもとへと向かった。
久しぶりにする接客業。



これも、時雨の方が上手かったな…
かっこいいから余計にお客さんからも人気あって…。



「お待たせ致しました、カルボナーラです。」



料理とフォーク、スプーンを置いて、俺はテーブルを後にした。
そして歩いていると、どこからか泉さんの声が響き渡ってきた。



「3番お願い!!」


その声にぱっと3番の席を見ると、食べ終わった食器が並べてある。
それに手をかけようとした時、また違う場所から泉さんの声がとんだ。



「ごめん。1番も、お願い!」