びっくりしながらも蓮について行き、赤い扉を開けた。



俺の肌をすーっと通りぬけていく風
そして、頭上には俺たちを照りつけていく太陽。



蓮は前と同じようにフェンスにもたれかかると、街を眺めた。



その隣に俺もちょこんと座る。
俺の特等席に…
そして、口を開いた。



「蓮…、何かあったの…?」



恐る恐るでたその言葉は、行き場を失っていた。
蓮には、全てお見通しだったんだ―…



「…あたし、待つよ。」



「……え?」



……待つ?



まだまだ子供の俺には少し難しかった。
待つ、というその行動が…



なんでもかんでも自分の思うがままに動いてしまう俺にとって、その言葉は予想外だった。




そして、その意味を俺は知ることになる…




「あたしは櫂が言ってくれるまで待つから大丈夫。」



「―………。」



「公園で寝てたこととか…花音サンのこととか…今日のことも…、何があったのか櫂が言いたくないなら、あたしは何にも聴きたくないよ。」



―…蓮…