…でも
やっぱりあの時、俺は甘かった…



どんどんどんどん加速していくスピードは止められないほど速くて…
空羽は俺の予想をはるかに超えてしまった。



花音に似ている、ということは、俺にとって辛くなることも作ってしまったんだ。



1言1言全て、花音が言っているように感じてしまうようになってしまったこと。
空羽を見ずに後ろにいる花音を見るようになってしまったこと。

そして…、時雨のこと─…。



やっぱり、あの時選択を誤ってしまったのかな…
空羽をおばちゃん達のところに、つき帰すべきだったのかな…



そしたら、こんなに苦しい想いも、こんなに辛い想いもしなくて済んだ?
若菜ちゃんも傷つけなくて済んだ?



全部…、全部─…。



ねぇ、誰か教えてよ─……?




その時、誰かにぱっと手を持たれた。
びくっと反応し、持たれた右手から序々に見て行くと、そこには蓮の姿があった。



「─…蓮…」



「ねぇ、櫂。次サボれない?」



「─…っえ……」



呆然としてしまう俺。
それもそうだ、付き合っていた時もいつも俺から誘っていたのだから…