「死ぬまで…?」



「そうだよ。だって、櫂クンは若菜の人生の中で最低最悪の日になりそうだった日を変えてくれたヒトだもん。」



そう言うと、若菜ちゃんは俺に小さな花を差し出した。
小さいながらも一生懸命生きているたんぽぽの花を…



「櫂くんのおかげで助かった。あのままだったら若菜ほんとに危なかったかもしんないんだ…」



「………─」



こういう時に何もかけてあげられない自分がどこか情けなくて、惨めで…。
でも、若菜チャンは変わらず俺に少しずつ自分の想いを伝えていく。



「ほら、若菜ね。すぐ感情的に動いちゃうからさ…。たまに自分でも怖くなるくらいに─…」



そう言う若菜チャンの顔はやっぱり儚くて…
そんな様子を見た俺の胸は少しずつ確実にしめつけられていった。



だって、それほどまでに時雨のことを想ってるってことだろ?
もし、違うかったらそんな言葉出てくる訳が無い。



きっと若菜チャンは辛い想いを何度も繰り返してきたから、そのことに気付いたんだろう。
時雨の少しの言葉で一喜一憂したり、少しの行動で胸を高鳴らせたり…



その度に、キミは少しずつ傷付いていってたんだね。
その度に、仕舞いようのない想いの行き場を失ってたんだね…。



まるで、あの頃の俺と同じように…
自分の気持ちを泪で消してきたんだね─…