キミ色

「駄目だよ…槻丘くん。蓮以外の女の子にそんな風にしちゃ…」



少し笑いながら甘く可愛くそう零すと、若菜チャンは空を見上げた。
陽の光に手を翳し、眩しそうに目を細めている。



「そんな風…って?」


やっぱり解らない俺の頭の中は混乱していた。
そう言われても、俺はいつも俺の想うがままにしか動いていないのだから、ピンと来ない。



「もぉ…、本当に何にも解ってないんだねぇ─…」



呆れた調子でそう言う若菜チャン。
そして、寝ている俺の頭の横に座り体育座りをした。



「何それ…」



「だからぁ、女の子に優し過ぎなんだよ!槻丘クンは。」



優しい…?
自分で全くと言っていいほど自覚がない。



だって、行動も発言も今まで全部自分がしたいようにしてきた訳で…
今回のように俺が無理矢理引っ張ったりも現にしているのだから。



「そんな風にされちゃったら、好きになっちゃうでしょ?」



付け足した若菜チャンの言葉に、俺は一瞬ビクッと反応してしまった。
自分の頭の上でそんなことを言われると、違うと解っていても驚いてしまう。



…“好き”?
こんな無理矢理なことをした俺を好き…?