キミ色

「…はい!答えは…?」


書き終えた若菜チャンは、そう言うとくるっと回り俺の方に顔を向けた。
その表情はどうしても、笑っているようには見えない。



そんなに無理した笑顔を向けないで…。
今の若菜チャンは、自分で自分を苦しめてるような気がする…。



目の前の黒板に映された言葉。
濃い緑色のボードに際立って映った白い文字。


それは…、はちきれそうな若菜チャンの心の悲鳴だった…




“幸せって何?”




俺の瞳には、そんな文字が映し出されていた。


どうして、俺にそんな質問をしたのかはわからない。
でも、ただ1つ…



確実に解っていたことは、若菜チャンの心は体は…もう限界だったということ。
そうじゃないと、普通こんなこと聴かないよ…



助けて欲しいって心が叫んでるのに、若菜チャンは自分の心に嘘をつくんだね…
それは、きっと強さじゃない…



我慢することだけが、全て強いとは限らないと想うんだ。
たとえ何人の人がいても、心のまま思いっきり泣くことが出来る方が、きっと我慢することより何倍も強いんだと想うから…



苦しい…
辛い…



…そう言って欲しい。
子供のように素直なままに…




でも、ヒトは脆くて弱いからすぐに自分の心に嘘をついてしまうんだ…