キミ色

…空羽。
そのことは自分自身でも、気をつけている方だと想う。


特に、蓮と付き合いだしてからは、出来るだけ空羽と距離をとっているつもりだ。
この頃、毎晩10時ぐらいに帰ってるし、休日もできるだけ蓮と一緒にいるようにしている。



だから、同じ家にいても空羽と俺の間に会話はあまりない。
一方的に俺が避けているからだ…


だって、空羽は花音だから…。
花音を想うと、また蓮が不安になってしまうだろう?



「空羽とは、あんま一緒にいねぇよ?」



「…そうは言ってもさ、一緒に住んでるって多分櫂が考えてる以上に辛いんだよ…」



そう言った時雨の表情は儚く、切なかった。



俺はやっぱり何にも解ってないのかな…?
少しは、蓮のこと解ってると想ってたけど…、やっぱり俺は蓮を傷つけてしまってるんだろうか…?


何で時雨には解るのに…、俺には解んないんだろう?
やっぱり、時雨はズルいよ。
お前は、何でも知ってる何でも持ってる…なのに、俺に上辺しか話してくれない。




「まぁ、でも櫂だってどうすることもできねぇもんな…。空羽ちゃんを追い出すことも出来ないし、お前が出て行くことだってできない。仕方ねぇけどさ…でも、少なくとも蓮が知らなくて空羽ちゃんが知ってる櫂っているんじゃねぇ?」




蓮が知らなくて、空羽が知ってる俺…?



「お前の日常でさ、一緒に住んでないと解んないことっていっぱいあんだよ─…。」