“海と空は繋がっている”


昔、お婆ちゃんに聞いたことがあった。
確か俺が5歳ぐらいの時に、海の家をやっている時雨のお婆ちゃんが言っていた。



5歳の時の俺は、その言葉を鵜呑みにしていた。
本当に繋がっているんだと…


でも、成長していくにつれて俺の考えは変わっていった。
誰だってそうだろう。


小さい頃は聴いた言葉を少しも疑うことなく信じられる。
子供は疑うという言葉を知らないからだ。


時が経つにつれて、俺の頭は疑うことを知っていった。
そして、それと同時に“不可能”という言葉も、、。


だから、俺はこんな風に考えるようになってしまったんだろう─…。



…海と空が繋がるなんて不可能だ─……



どうして、人は大人になっていってしまうのだろう?
大人になっても何も良いことなんかないのに。


子供の頃の無邪気さも、素直さも、綺麗な心も全てなくしてしまう。
色んな言葉を知って、色んな雰囲気を悟って…
心とは別の行動をして、上手く逃げる方法を身につけて…



生きていく上での変な知識ばかり見につけていくことは、本当に大事なのだろうか…?


俺の心はどんどん変わっていった。
子供の頃に想っていた“空を飛びたい”という夢も、また不可能の一言で終わらせてしまったのだから。



あんなに何の疑いもなく、できると想っていた自分が嘘みたいだ。