~†~愛希姫~†~
響君が私の名前を叫んでから、全てがスローモーションに見えた…
私は咄嗟にしゃがんでいた。
次の瞬間には響君に引っ張られて、勢い余って転んでしまう。
「痛ッ…くない。」
あれ、私、転んだのに痛くない。
もしかして自ら受け身を…
「お嬢様、大丈夫ですか…?」
ってそんなわけなかった!
自分の下から聞こえる声に我に返る。
私は響君を下敷きにしていた。
「ご、ごめんねっ!?痛くない!?重かったでしょう!?すぐ退くから!」
慌てて退こうとしても、響君が許してくれなかった。
「僕は平気ですよ。それよりお嬢様はお怪我なさいませんでしたか?」
優しく頬に触れ、心配そうに覗き込んだ。

