夏休みが明けて、1週間が経った放課後。


佐紀が、練習を始めようとして、
千奈がいないのに、気が付いた。


  「梨沙っ、チナは?」


  「えっ、ああ、今日学校、
   休んでんだ」


  「あっそう、じゃあ、始めるよー」


練習が、始まった。



練習が終わっての帰り道、
話は、千奈の事になった。


  「元気が取り柄のチナが、
   学校、休むなんて、珍しいね」


  「ホンマ。それだけが、取り柄やのに」


  「ユリ、それは、チナに失礼だよ」


  「ハハハ、ごめーん」


華子が、神妙な顔つきで、


  「お父様から、聞いたんだけど、
   チナの、お父さんが経営していた会社
   倒産したらしいですわよ」


  「えっ、そうなんだ」


  「じゃあチナ、学校、辞めるんやろか」


  「さあ、そこまでは……」



すると、梨沙が、昨日の事を、思い出した。


  「昨日ね……」