「姉さんが・・・?姉さんが駅にいたって言うんですか?」
「はい。幸男君はそう言ってました。私は少し離れたところから見ていたのでわからなかったのですが・・・。」
「まさか・・・。」
驚きは隠せない。
「ただ・・・幸男君の行動は普通じゃなかった。それが意味するのは、本当に・・・そこにお母さんはいたのではないでしょうか?」
「そうですね・・・。」
まだ受け入れられずにいた。しかし、この老婆が嘘を言う必要もない。言うようにも見えない。しばらく黙っていた。
沈黙のせいもあって、時計の針が動く音が聞こえてきた。それは何かを催促しているようにも聞こえた。
「あ、私たちはそろそろおいとましますね。」
「そうですか。今日は本当にありがとうございました。」
老婆とあゆみを見送る。