ちゃんと身体を起こして、座り直した彼女は俺の手を引いて隣に座らせる
大人しく座ってやると、穴が開くんじゃないかってくらいじーっと見つめてくる
「翼…?」
返事はこない、そのかわりに翼が俺に抱きつく
今日はスキンシップが多い日なのか…?
「……ぁる」
「ん?なんかいったか?」
ふいに聞こえた声に耳を澄ませる
「恋人…なる…」
「…………」
俺は思わず抱き締める
二人して抱き締めあっているようだが、力のない彼女は俺のスーツを少しつかんでる
この日
この場所で
この時間に
俺たちは
恋人になった―――……