社長の溺愛




「じっれったい…ってうかグズグスっていうか…」



ぼそっと南月が呟いた言葉に俺は反応した



グズグス…


じっれったい…



それは俺も感じていたことだったからだ



「なんか……慎さん…怖がってますよね、それがイライラするんすよ」



怖がってる…



俺は高校生の不良に自分の気持ちをあっさりと見透かされている


あぁ…怖いよ、怖すぎる


もし俺が一歩踏み出したら、その時に翼に拒絶されてしまうかもしれないことが


俺は踏み出せずにいる



「別に…慎さんがそれでいいならいいっすよ

そしたら俺が翼、貰うんで」



は?


何て言った?


翼を………貰う……?




ざけんなよ



翼は俺の大事な女だ―――……



「あ?何言ってんだよガキが…」



突発的にそんな台詞が口をついた