これまた心底つらそうに睫毛を濡らそうとする彼女
回りくどい言い方が苦手なんだな
新たな接し方を取得した南月はにっこりと笑い、不良とは思えないくらい優しく話す
それはまるで妹に話しかけるように
「翼は好きじゃなくて、
“大好き”なんだよ慎さんのことが」
「大好き…?」
ポワンと頭上に疑問符を浮かべると南月にむかって「わからない…」と呟く
だから南月はストレートな、伝わりやすい言葉を選ぶ
「大好きっていうのはね“特別な好き”なんだよ。好きをいっぱい詰め込んだ言葉なんだよ」
するとみるみると表情が明るくなっていく彼女
それはもう、パァッ!と光でも差したんじゃないかってくらいに

