社長の溺愛




なんかムカつくな……



無視してやろうかとすると口パクで何かをいい始めた


「なんだ……ツ・バ・サ…―――翼?」


「イエスッ!」



ガラス越しにガッツリ聞こえてくる大声


いったいなんなんだよ……



ため息を吐きつつも翼に関係あることならば、と脚が勝手に動いている



車から降りると相変わらずの不良っぷり


制服はワイシャツの代わりに外人がプリントされたTシャツを着ているし


髪の色だって前に見たときと変わらない金髪だ



「不良がいったいなんの用だ?」



「ずいぶん態度が違いますね」


口角をあげながらまるで幸弘みたいに離す南月



「翼以外に優しくする意味がないだろ」



「そんなこと言ってていいんですか?俺になにか言うことあるでしょ」



……なにを言い出すんだ、まったく



「意味がわからない、遅刻するぞ」



「え、マジすか?さぞかし楽しい夜を過ごしたんじゃないんですか~?」