社長の溺愛




「好き……」


何度も同じ言葉を繰り返す翼ははっとしたように車から降りようとする


「翼…?」


「学校、ついてる」



何故か素っ気ない態度で呟くとあっさりと走り去ってしまった


……………。



あ~あ……やっちまった…―――



ふいに切れた理性の糸にひたすら後悔をするしかない



あんなキス、するつもりなんかなかったのに



涙を浮かべた瞳が脳裏に浮かび上がる



無性に苛立つ感情はどこに向けたらいいやら……ハンドルを叩きつけていた


しばらく突っ伏していると―――


コンコン……


コンコン…



誰かが窓を叩いている


顔をあげると、そこにはわくわくといった言葉がぴったりなくらいな笑顔を張り付けた南月がいた