社長の溺愛




プルルル…プルルル…



その時だった


備え付けの電話が鳴り響く



瞬時に幸弘が対応をすべく受話器を手に取る



「社長室です、どのようなご用件で?」



電話に反応したのは幸弘以外にもいたらしい



翼が何事かと不安そうに俺たちを見つめてる



コツコツ…



大理石に足音を響かせながら、彼女の座るソファーへと行く



「お電話…」


「そうだね、電話だ」



長い髪に指を通しながら小さい顔を持ち上げる



チラッとテーブルを見るとそこには翼が描いたとは思えないデザインが並んでいる



「翼も仕事したんだな」


「うん、慎と一緒…?」


「そうだね、一緒だよ」