バタン……
「わぁ…」
タクシーを降りてすぐに翼を抱き上げて部屋まで運ぶ
驚いた彼女が少し声を上げた
ドサッ……
部屋に入った途端、寝室に連れ込んでベッドに寝かせる
帰国前に幸弘がクリーニングを頼んでいたから、ベッドには埃ひとつない
「慎……」
タクシーのなかでは気づかなかったが、相当身体が熱くなっている
「寝てな、氷枕持ってくるから」
「ん……」
心配かけまいとしていたんだろう
その証拠に辛いと言わない彼女の身体はどっぷりとベッドに沈んでいて
もう起き上がる力だって残っていないようだ
キッチンに行き氷枕を手早く作る
冷却シートも新しいのに変えなくちゃな

