社長の溺愛




しかし神はなぜか俺に冷たい


「あ、なっちゃん」


月曜日の朝、とてつもない不運に襲われたのだ



「慎、あのひとがなっちゃんだよ」



車内で朝のお別れ会をしようとしていた矢先だった


校門付近のもはや定位置となった場所に車をつけたとき、窓の外を眺めていた翼が言った



どうやら朝っぱらから現れたらしい…




「じゃあね…行ってきます」



「ちょっと待て」



「…ん……?」



車を出ようとしていた翼を慌てて止めると俺は足早に外に出た


翼側のドアを開けると華奢な手を握って外に連れ出す