社長の溺愛




「ん……わかった…」


「じゃあ今、亘呼んで「翼ちゅわぁーん!」


腕をほどき、机に向かおうとしたとき


なんとも馬鹿な声がした



「あ…幸弘くん」


そう、馬鹿野郎こと幸弘が派手に扉を開けてデレデレの気持ち悪い顔で入ってきたのだ



「なんだよ…幸弘」


咄嗟に翼を自分の後ろに隠す


怪訝そうな顔をした幸弘は「慎には用ないから~、翼ちゃん!」



「なに…?」


ひょこっと顔だけ出した翼が警戒心皆無で返事をする


「今日からお仕事なんだよね?」


「うん…頑張る…」



幸弘は「そっかそっかぁ」なんて呟きながらさらに目尻を下げる



「じゃあ一緒にデザイン課に行こうか♪」



そういうことか…


秘書である幸弘は基本的には自由だからな、他の秘書はわからないが…


俺は必要なときにしか呼ばないから普段の幸弘は社内をぶらつくか、秘書の仕事をしている


要するに、大半を暇な時間で過ごしている馬鹿な幸弘は翼と一緒にいようと考えたんだ