社長の溺愛




こんな紙一枚で誰が書いたのかかんてわかるわけ―――……



名前でも書いてあればなぁーなんて軽い気持ちで四隅に視線を落とした


右下に薄く幸弘だと思われる字で何かが書いてある



「なんだこれ…?」


ぐっと近づけて見ると…



「つば…さ…ちゃ…ん…?」



つばさちゃん?


ツバサチャン?


翼ちゃん?!



「翼!?」


思わず叫んでしまった


「へっ?誰かわかるんですか!」


亘も同様に声が大きくなっている



いやいやいや…



これを翼が書いたってことはないだろう…


第一サンプル品について書くなんていつ…



…………!




「あのときか!」



あのとき、翼を会社に連れてきて仕事を頼んだときだ


幸弘がいっていたことを思い出す



「サンプルが届いたんだよ~」

「この紙に書いてね~」



アンビリーバボー…




あのときにチラッと翼を見たがサンプルの服をじーっと見つめていたことしかわからない