社長の溺愛




俺は制服姿の女子高生に営業スマイルを披露する


「おはようございます、Wingの浅倉です」


「きゃぁ~!マキいっちゃえいっちゃえ!」



…女子高生



強し!!!



数人の女子高生が1人の子になにかを煽るように声をかける


「あのぉ~」


「やめてよぉ」とか言っときながらまんざらでもなさそうな‘マキ’らしき子が上目遣いで俺にアピールしてきた



「なんでしょうか?」



俺は終始笑顔で応答をする



「あたしぃ、マキっていいます~。いきなりで悪いと思うんですけどメルアド…教えてくれませんかあ?」



悪いと思ってねぇだろ



俺の昔の女付き合いはこいゆうときに役立てられる


交わしはお手のもの



「マキちゃんだっけ?ごめんね、これから急ぎの仕事があるから」



「えっ、でも松谷さんのこと―――……」



翼は特別なんだよ



俺の時間をかけるべき存在なんだよ



なんて言うわけなくてほんの少しだけ声のトーンを落とし



「可愛い顔してるんだから、他の男のにしときな」



と、代わりにクサイ台詞を置いて車に乗り込んだ



マキちゃん率いる強き女子高生はしばらく余韻に浸っていることだろう


そうじゃないと困るんだがな



バックミラーで軽く確認をしてアクセルに足を置いた



このときに女子高生なんか無視して翼に学校を休ませてればよかった


俺自身が翼と離れることが嫌だからと大人気ない我が儘も言えばよかった



水曜日は早く終わる学校


翼は










帰ってこなかった