社長の溺愛




慣れてきた二人の生活


「行ってきます」


今日もいつも通りに朝の別れがくる



「あぁ、行ってらっしゃい」


髪を撫でてから一緒に車を出て見送ってやる


翼が車から降りると興味津々な奴らが視線を絡ませる


そりゃそうだろう、送迎車がつく生徒なんて珍しいし、その本人が可愛い翼だからな



「松谷は今日も可愛いなぁ~」

エブリデイキュートだぞ


「告れよ、お前!」


いやいや、告んなよお前


「あのひとって浅倉慎じゃね?」


はじめまして。浅倉慎です


「やっぱ松谷ともなると付き合うひとが違うよなぁ」



付き合ってるように見える?


そりゃありがたいことだ

男子生徒からの視線はいただけないから多少ばかり俺が睨んでしまうのは仕方がないことにして…


「誰かメルアド聞いちゃいなよぉ~」


「松谷さんって冷たそうだからぜったいマキいけるってぇ!」


「かっこいなぁ~」




………。




女子高生からの視線には耐え難い俺である



毎朝のこととはいえ慣れないものだ



「あのぉ~…浅倉社長ですよねぇ?」



来た来た…。