「別にいいよ、ほっとけって。加奈があいつの事好きだってんなら話は別だけどさ」

「むー!!だから好きじゃないってばぁ。何であたしが加村君好きだと話が変わるのよ」

好きじゃないって言ってるのにしつこい直哉だが、普段なら友情には厚い男なはずなのだ。

なのに、今回の加村君の相談に乗ってあげないというのは、いったいどういうわけだろう。

「まぁいいじゃん、それより俺自分の恋愛の方が心配なんだけど。それに加奈だっていい女なのに今まで彼氏いた事ないじゃん」

直哉はダルそうにそう言うと、今度はあたしの二、三歩前に出て来た。

「なぁ、おまえって何で彼氏作んねぇの?」

彼に悪気がない事はわかっている。

……が、やはり直哉を好きなあたしにとってこの質問は正直酷だ。

あたしは思わずその場に立ち止まってしまった。

「あたしは……あたし」