「なぁなぁ、コイビト同士のデートって何するんだ?」

あたしの空想を中断させたのは、ウキウキと目を輝かせた直哉のそんな一言だった。

「な、何って……えっと。例えば、二人だけで一緒に帰ったり、映画見たり、ショッピングしたり、家でまったり……」

「何だよ、それって今までと変わんねぇじゃん。つまんねーの」

思いつく事を並べてみたのだが……、確かに直哉の言うように今まであたし達が普通にやってきた事と、何ら変わりない気がしなくもない。

だが、最後の「つまんねーの」は余計だ。

「やる事は今までと同じでも、あたし達の気持ちが違うでしょうが」

――おぉ、あたしってば、我ながらイイ事言ったんじゃない?

「へぇー。そうなのかぁ。さすが加奈だ。スゴイぞ」

さっきから、直哉はいちいち大げさすぎる。

「ところで、キスはいつするんだ?」

「!?」

「コイビト同士はキスするんだろ?へへん、俺だってそのくらいの事は知ってるぜ」