「あのさ」

沈黙を破ったのは直哉だった。

「……わりぃ」

気マズそうに小さくつぶやく彼のその言葉が、あたしの胸に突き刺さった。

あたしの気持ちには応えられないという、そんな意味を込めたものなのだろうか。

あたしの16年間の初恋は、今ここで幕を閉じる。

「俺は頭悪いし、お調子者だし、単純で鈍感で、全然カッコ良くもないし……、何よりずっと一緒にいたくせに加奈の気持ちに気づけなかった大バカ野郎だ。だから、やっぱり俺じゃおまえの彼氏になる資格なんてないよ」

「そんな言い訳じみたフォロー、いらない。直哉間違ってる。あたしは、あんたが思ってる程出来た女の子じゃないよ。どこにでもいる普通の女子高生だもん」

そう、しっかりなんかしてないし、強くだってない。
本当は傷つきやすいし、一人で泣いちゃう事もある。

「でもね、直哉がいつも傍にいてくれたから、だから今のあたしでいられるんだよ。辛い時も悲い時も、いつだって直哉がいたから乗り越えられたんだよ」