「……何、だよそれ。こんな時冗談やめろよな」

一瞬驚きの表情が見えたが、すぐに直哉の顔がひきつり、苦笑いに変わった。

「……」

冗談だと決めつけた彼の言葉に、あたしはいたたまれない気持ちになり、恥ずかしさもあってうつむいたまま何も言えなくなってしまった。

「そんな顔……。だってよ、おまえ俺の事昔からブサイクとかバカとか言ってたし」

目頭がカッと熱くなった。

「そんなの、全部嘘だよ。本当はあたしずっと直哉の事が」

「やめろよ!」

強い口調で話をさえぎる彼に、あたしはビクッとした。

――何、で……。

少しの間、重苦しい空気と沈黙が流れた。

――こんな事になるなら、言わなきゃよかった。

やっぱりあたしは直哉にとって、今も昔もずっと変わらず、幼なじみでしかないのだと思った。