あの日から、俺はアキと会話をしていない。

挨拶はしても、気まずくて
逃げるように教室から出ていくばかり。



ーー学校はあと少しで文化祭。


準備期間の今、アキとその友達のユキナが話をしていると
メグとトウマがやってきて一緒に準備をする。

そこに混ざろうとは思ってなかった。

でもやることがなかったため、仕方なくトウマの元へ寄って行く、俺。



「トウマ、暇。」



ーー俺は犬か・・・



「なんだ、キョウたん、ついに俺が恋しくなったか!」

「うざい、黙れ」


軽くいつもの冗談を交わすと、ふっと息を吐きながら笑った。

今は仕方がない。

さぼるにもみんな準備で忙しくて
休む場所がない

ここはおとなしくトウマに従う犬であろう

なんて、一人変な考えをまとめていた。




俺が近づいたことによって、静かになる女子たち。

一番騒いでいたユキナがおとなしくなったのを
アキは見逃さなかった。



「あれあれぇ?ユキナ赤いぞー?」


「本当だー!どうしたユキナどん!」



ちゃかすアキに、便乗するトウマ。

顔を赤らめるユキナは、
俺を省いてみんなの耳を集め
なにやら内緒話。

どうやら俺は邪魔なようだ。

しかたなく立ち上がる俺は
みんなの驚きの声を背景に教室を出た。