その音色はどこまでも美しく

どうやって起こそうか考える。

俺は自分の顔がにやけていくのに気付く。

何だか心までうきうきしてきた。

まるで、玩具を与えられた子供のように。

さて、どうするかな。

教師がちらちらこっちを見ている。

どうやら気付かれたようだ。

考えている時間はあまりない。

……シンプルに行くか。

そう思い、音を立てないように慎重に机を後ろにずらしていく。

ゆっくりゆっくり、俺の机と可奈の椅子の距離が開いていく。

これくらいでいいかな。

俺は机から身を乗り出し、可奈の椅子に手をかける。



では、三、二、一……。