その音色はどこまでも美しく

「生徒にサボりを奨めるなんて不良教師ですね」

「まあそう言うな。生徒の心のケアも私の仕事だからな。カウンセリングだよ、カウンセリング」

カップに湯を注ぎながら言う。

いい加減なもんだ。

まあ、頼子さんらしいが。

「砂糖だけだったか?」

「はい」

「ほらよ」

ありがとうございます、と短く礼を言い受け取る。

一口飲むとちょうど俺が好きな味に調整されていた。

「……上手い」

「そうだろ?なんせ私特製だからな」

はは、と照れ臭そうに笑う。

「それで今度は何をやらかしたんだ?可奈のやつかなり怒ってたみたいだけど」

「うっ」

出来ればその話題には触れて欲しくはなかったな……。

正直、今回ばかりは全面的に俺が悪い。

「どうせまたつまらない事で喧嘩したんだろう。まったく本当に仲が良いな、君達は」

「まあ、そうなんですけど。今回は何て言うか運が悪かったんですよ」