「あ、ありえねえ」

一段飛ばしどころじゃない。

半階ずつ飛んで来やがった!?

運動神経はいいと思っていたがここまでとは……。

「いい加減諦めたら?」

息を切らし様子もなく平然と告げる。

その言葉を聞き終えぬうちに再び走りだす。

冗談じゃない!

走りなら負けない自信がある。

絶対に逃げきってやる。

目指すは予定通り保健室だ。

あいつの着地したであろう破裂音を背にひた走る。

息も絶え絶えになりもう駄目だと思った時、保健室のプレートが見えた。

おあつらえむきにドアが開いている。

最後の力を振り絞り、そのままの勢いで保健室に飛び込みドアを閉める。