女ってのは怖いと思う。
だって一人相手にこんなに大人数で文句を言いにくるんだから。
「ねえ、アンタ聞いてんの?
アンタのせいでさータカシと別れたんだけど!
人の男とるとかどういう神経してんの?
マジ引くんだけどー」
「最低ー」
「死ねよー」
馬鹿っぽい喋り方。
ぽいじゃなくて馬鹿なんだけど。
内容もくだらない。
タカシって誰だ、おい。
いい加減こいつらの相手もダルくなってきたなあ。
「ブスだからって僻まないでよ」
思ってたことをそのまま言ってしまった。
オブラートに包むべきだったか、と
内心笑いながら後悔した。
「ハア!?調子にノってんじゃねーよ!」
「マジなんなの?」
どうでもいい。
ていうかあたしこの人達の名前も知らないや。
まあ、それこそどうでもいいけど。
「さっさと帰してくれないかな。馬鹿がうつりそう」
「ッ!」
真ん中にいた女が手を振り上げた。
ビンタは痛いから勘弁して欲しいけど、
胸倉を掴まれてるから避けるのは無理だろう。
とりあえず、目を瞑っておこうかな。
目の中に入ったら痛いし。
なんて、私が来るであろう衝撃に備えていると
「おい、お前ら何してんだ?」
聞き覚えのある声がした。